漆器
鎌倉彫
かまくらぼり
神奈川県鎌倉市で生産される木彫漆器。木地に彫刻を施し漆を塗り重ねる。
History
歴史
鎌倉彫は鎌倉時代の13世紀頃、中国・宋から渡来した堆朱の技法に触発されて生まれた彫刻漆器である。鎌倉の仏師たちが仏具の制作で培った木彫技術を応用し、木地に彫刻を施してから漆を塗るという独自の技法を確立した。室町時代には茶道具として珍重され、江戸時代には広く一般にも普及した。明治初期に一時衰退したが、後藤家をはじめとする職人たちの努力により見事に復興を遂げた。1979年に伝統的工芸品に指定され、鎌倉を代表する伝統工芸として多くの工房が技術を伝承している。
Technique
技法
鎌倉彫はカツラやイチョウなどの木地に、薬研彫り・篭彫り・浮き彫りなどの多彩な技法で精緻な文様を彫刻する。文様には牡丹、椿、梅などの草花文や雲紋が多く用いられる。彫刻を施した木地に漆を何層にも丁寧に塗り重ね、朱漆や黒漆を基調とした仕上げを行う。乾口塗りと呼ばれる技法では、塗りと研ぎを繰り返した後に生漆を刷り込むことで古色を帯びた深い味わいを出す。彫刻の凹凸に漆が溜まることで自然な陰影が生まれ、独特の立体感が際立つ。
Process
制作工程
全6工程
- 1
木地作り
カツラやイチョウなどの木材を盆や箱などの器形に成形し、彫刻を施すのに適した厚みと形を整える
- 2
図案描き
牡丹や椿、梅などの草花文や雲紋の図案を木地の表面に描き写し、彫刻の指針となる下絵を作成する
- 3
彫刻
薬研彫り・篭彫り・浮き彫りなどの技法を用いて木地に精緻な文様を彫り込み、立体的な造形を表現する
- 4
下地塗り
彫刻を施した木地に生漆を摺り込んで木材を固め、下地漆を丁寧に塗り重ねて堅牢な塗膜の基礎を作る
- 5
漆塗り
朱漆や黒漆を何層にも塗り重ね、彫刻の凹凸に漆が溜まることで自然な陰影が生まれる深い塗膜を形成する
- 6
乾口仕上げ
塗りと研ぎを繰り返した後に生漆を刷り込み、古色を帯びた深い味わいと独特の立体感を引き出して完成させる
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
三橋 鎌山
伝統工芸士
三橋鎌倉彫工房
1946年神奈川県鎌倉市生まれ。鎌倉彫の名門に生まれ、幼少期から彫刻刀を握って育った。禅の精神と結びついた力強い刀痕と、深みのある朱漆の仕上げが特徴で、鎌倉彫の重鎮として後進の指導にも力を注いでいる。
制作哲学
鎌倉彫は禅と武の精神が生んだ工芸である。一刀一刀に覚悟を込め、木と漆に魂を宿す。
“鎌倉の風と光の中で彫る。この土地の空気が、私の作品を鍛えてくれるのです。
安達 葵
若手作家
鎌倉彫工房 葵
1993年神奈川県藤沢市生まれ。多摩美術大学で彫刻を学び、木彫の延長として鎌倉彫に出会った。伝統的な花鳥文の彫刻技術を習得しつつ、抽象的な造形の鎌倉彫にも挑戦し、ギャラリーでの個展も開催している。
制作哲学
鎌倉彫の刀痕の力強さは、他の漆器にはない魅力。現代の空間にも映える鎌倉彫を作りたい。
“木を彫り漆を塗るというシンプルな行為の中に、無限の表現があると気づきました。
FAQ
よくある質問
鎌倉彫とは何ですか?▼
神奈川県鎌倉市で生産される木彫漆器。木地に彫刻を施し漆を塗り重ねる。
鎌倉彫の産地はどこですか?▼
鎌倉彫は神奈川県で生産されている漆器です。
鎌倉彫の技法・特徴は?▼
鎌倉彫はカツラやイチョウなどの木地に、薬研彫り・篭彫り・浮き彫りなどの多彩な技法で精緻な文様を彫刻する。文様には牡丹、椿、梅などの草花文や雲紋が多く用いられる。彫刻を施した木地に漆を何層にも丁寧に塗り重ね、朱漆や黒漆を基調とした仕上げを行う。乾口塗りと呼ばれる技法では、塗りと研ぎを繰り返した後に生漆を刷り込むことで古色を帯びた深い味わいを出す。彫刻の凹凸に漆が溜まることで自然な陰影が生まれ、独特の立体感が際立つ。
鎌倉彫はどこで購入・体験できますか?▼
神奈川県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。神奈川県の工芸品については神奈川県の伝統工芸品一覧もご覧ください。