陶磁器
伊賀焼
いがやき
三重県伊賀市で生産される陶器。耐火性に優れた土鍋や花器が代表的。
History
歴史
伊賀焼は三重県伊賀市を中心に生産される陶器で、その起源は奈良時代に遡るとされる。本格的な発展は桃山時代で、伊賀領主・筒井定次や藤堂高虎の庇護のもと、茶陶として優れた水指や花入が制作された。古田織部好みの大胆で力強い造形は「伊賀に耳あり、信楽に耳なし」と称され、信楽焼と区別された。桃山伊賀と呼ばれるこの時期の作品は茶道具として極めて高い評価を受けている。江戸時代以降は日用雑器の生産が中心となり、現在は土鍋などの耐熱陶器でも知られている。
Technique
技法
伊賀焼は古琵琶湖層から採れる耐火度の高い良質な陶土を用いる。この土は400万年前の古琵琶湖の堆積土で、粗い長石粒を含み、高温焼成に耐える特性を持つ。成形は手捻りや轆轤で行い、桃山伊賀の伝統では大胆にヘラで削り出す力強い造形が特徴である。穴窯や登り窯で約1300度の高温で長時間焼成し、自然釉(ビードロ釉)や焦げ、灰かぶりなどの窯変効果を生み出す。耳と呼ばれる把手を付けるのも伊賀焼の特徴で、実用性と造形美を兼ね備えている。
Process
制作工程
全8工程
- 1
土採取
古琵琶湖層から約400万年前の堆積土である耐火度の高い良質な陶土を採取し、粗い長石粒を含む原土を確保する
- 2
土練り
採取した陶土を水簸・陳腐させて粘りを出し、菊練りで気泡を抜いて均質な粘土に仕上げる
- 3
成形
轆轤挽きや手捻りで器の形を成形し、桃山伊賀の伝統に倣いヘラを用いた大胆な削り出しで力強い造形を施す
- 4
耳付け
伊賀焼の特徴である耳と呼ばれる把手を胴体の両側に取り付け、実用性と独自の造形美を兼ね備えさせる
- 5
乾燥
成形した器を日陰に置いてゆっくりと時間をかけて乾燥させ、素地内部の水分を十分に抜いて焼成に備える
- 6
窯詰め
穴窯や登り窯に作品を一つずつ慎重に配置し、灰かぶりや窯変効果を計算した最適な位置取りを行う
- 7
焼成
約1300度の高温で長時間焼成し、薪の灰による自然釉や焦げ、灰かぶりの窯変を生む
- 8
窯出し
窯を十分に冷却してから作品を取り出し、ビードロ釉や焦げなどの景色を確認して選別する
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
1958年、伊賀焼陶芸作家・谷本光生の息子として生まれる。伊賀・京都にて陶技を学び、1984年渡仏。パリ・グランシュミエールにてデッサン・油絵を学び、スペインの造形作家J.G.アルチガスの助手を務める。1988年に独立し谷本洋陶房を開く。全国の主要百貨店やギャラリーにて個展を多数開催。海外でも展覧会・ワークショップを精力的に行い、伊賀焼を世界に発信している。
制作哲学
古伊賀の写しではなく、今の時代の必然性を器に宿すこと。作品作りとは、自分作りにある。伊賀の伝統とパリで出会った現代美術の感性を、一つの器の中で対話させ続けている。
“古伊賀の素晴らしい作品の写しではなく、今の時代の必然性を意識し、格調高い作品を作りたいと日々考え、作陶しています。
前田 幸一
鶴来窯 窯主
鶴来窯(かくらいがま)
1971年淡路島生まれ。大学在学中に故杉原哲彦教授のもとで茶陶の歴史的背景と窯の発掘調査に従事。1998年に兵庫県南あわじ市志知に六段登窯を築窯し、鶴来窯(かくらいがま)を開く。古伊賀の伝統を受け継ぎ、毎年2月に四昼夜の窯焚きを行い、極めて高温度にて焼き締める。釉薬を使わずとも顕れる自然の妙味を追求している。
制作哲学
古伊賀の伝統を今も受け継ぎ、火と土と人の技術を伝える。釉薬を使わずとも顕れる自然の妙味を追求する。
長谷 康弘
8代目当主
伊賀焼窯元 長谷園
1969年三重県伊賀市生まれ。日本大学卒業後、東武百貨店に勤務。1997年に長谷製陶株式会社(伊賀焼窯元長谷園)に入社し、2007年に代表取締役社長に就任、8代目当主となる。天保3年(1832年)創業の窯元を率い、「作り手は真の使い手であれ」の工房訓のもと、伊賀の粗土を活かした機能土鍋の開発に注力。炊飯土鍋「かまどさん」は累計販売100万台を突破する大ヒット商品となった。阪神・淡路大震災で事業の7割を占めるタイル事業を失った経験から、「伊賀焼にしかできないもの」を追求し続けている。
制作哲学
作り手は真の使い手であれ。食卓は遊びの広場だ。伊賀の粗土を活かし、現代の暮らしに役立つ道具を作る探求心を持ち続ける。
“伊賀焼にしかできないものを追求し続ける。それが天保3年から受け継いできた使命です。
この工芸の工房・店舗
FAQ
よくある質問
伊賀焼とは何ですか?▼
三重県伊賀市で生産される陶器。耐火性に優れた土鍋や花器が代表的。
伊賀焼の産地はどこですか?▼
伊賀焼は三重県で生産されている陶磁器です。
伊賀焼の技法・特徴は?▼
伊賀焼は古琵琶湖層から採れる耐火度の高い良質な陶土を用いる。この土は400万年前の古琵琶湖の堆積土で、粗い長石粒を含み、高温焼成に耐える特性を持つ。成形は手捻りや轆轤で行い、桃山伊賀の伝統では大胆にヘラで削り出す力強い造形が特徴である。穴窯や登り窯で約1300度の高温で長時間焼成し、自然釉(ビードロ釉)や焦げ、灰かぶりなどの窯変効果を生み出す。耳と呼ばれる把手を付けるのも伊賀焼の特徴で、実用性と造形美を兼ね備えている。
伊賀焼はどこで購入・体験できますか?▼
三重県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。三重県の工芸品については三重県の伝統工芸品一覧もご覧ください。