陶磁器
四日市萬古焼
よっかいちばんこやき
三重県四日市市で生産される陶器。紫泥の急須や耐熱土鍋が代表的。
History
歴史
四日市萬古焼は三重県四日市市を中心に生産される陶磁器である。元文年間(1736年〜)に桑名の商人・沼波弄山が自らの作品が永遠に残ることを願い「萬古不易」の印を押したことが名称の由来とされる。弄山の没後一時途絶えたが、天保年間(1830年〜)に四日市の森有節が再興し、木型成形による精巧な急須などを制作した。明治以降は四日市を中心に産業として大きく発展した。現在は紫泥の急須で全国的に知られ、土鍋の生産量は国内シェアの大部分を占める。
Technique
技法
四日市萬古焼の代表的製品である紫泥急須は、鉄分を多く含む紫褐色の陶土を無釉で焼成する。この土に含まれる酸化鉄が焼成によって独特の紫褐色を発色し、使い込むほどに光沢が増す。成形は轆轤挽きや型押しで行い、急須の場合は胴・蓋・注口・把手を別々に作って接合する。土鍋にはペタライトを配合した耐熱性の高い陶土を使用し、直火に耐える特性を持たせている。焼成温度は製品により約1100度から1250度まで様々で、酸化焼成を基本とする。
Process
制作工程
全8工程
- 1
原料調合
鉄分を多く含む紫褐色の陶土を精製し、急須用には紫泥土、土鍋用にはペタライト配合など製品に応じた配合を行う
- 2
成形
轆轤挽きや型押しで丁寧に成形し、急須の場合は胴・蓋・注口・把手をそれぞれ別々に作り上げる
- 3
部品接合
急須の胴体に注口と把手を正確な角度と位置で接合し、蓋との嵌合も精密に調整して組み上げる
- 4
茶漉し加工
急須の内側に茶漉し用の細かな穴を一つずつ丁寧に開け、茶葉が漏れ出ない精密な濾過機能を作る
- 5
仕上げ
接合部や表面をヘラや手で滑らかに丁寧に整え、萬古焼の紫泥急須ならではの美しい肌合いを作る
- 6
乾燥
組み立てた急須を均一にゆっくりと乾燥させ、胴と蓋や注口など各部品の収縮差による歪みを防止する
- 7
焼成
無釉のまま約1100度から1250度で酸化焼成し、紫褐色の鮮やかな発色を実現する
- 8
検品
蓋の合わせ具合や注ぎ口の水切れなどの機能面を一点ずつ厳密に確認し、製品としての品質を保証する
Artisans
この工芸を紡ぐ人々
清水 醉月
三代目(本名:清水洋)
醉月陶苑
1944年四日市生まれ。18歳で萬古焼の世界に入り、二代目の父に師事。1993年に三代目醉月を襲名。日本伝統工芸展入選35回以上。2016年G7伊勢志摩サミット首脳晩餐会にて萬古盛絵酒盃が乾杯杯として使用された。2021年瑞宝単光章受章。2025年四日市市指定無形文化財保持者に認定。
制作哲学
伝統を模倣しているだけでは、新しい時代に対応できず、いずれ衰退していってしまう。「萬古不易」の精神を基盤に、サンドブラスト技法など独自の革新を追求し続ける。
“伝統を模倣しているだけでは、新しい時代に対応できず、いずれ衰退していってしまう。
舘 正規
伝統工芸士・四日市市指定無形文化財
正規窯 舘陶苑
師匠のもとで直接弟子入りという伝統的な修行を積んだ紫泥急須の名手。21歳で通商産業大臣賞を受賞し「天才」と称された。千切れ(ちぎれ)技法を極めた唯一の職人として知られ、皇太子・皇太子妃への献上品も手がける。明治神宮への奉納、フィラデルフィア陶芸展出品など国内外で高い評価を受ける。
制作哲学
やきものは使うもの。使いやすさを大切にし、形や持ちやすさにこだわり、使って心地のよい、何度も使いたくなる急須を造る。
“手が忘れない急須。
この工芸の工房・店舗
FAQ
よくある質問
四日市萬古焼とは何ですか?▼
三重県四日市市で生産される陶器。紫泥の急須や耐熱土鍋が代表的。
四日市萬古焼の産地はどこですか?▼
四日市萬古焼は三重県で生産されている陶磁器です。
四日市萬古焼の技法・特徴は?▼
四日市萬古焼の代表的製品である紫泥急須は、鉄分を多く含む紫褐色の陶土を無釉で焼成する。この土に含まれる酸化鉄が焼成によって独特の紫褐色を発色し、使い込むほどに光沢が増す。成形は轆轤挽きや型押しで行い、急須の場合は胴・蓋・注口・把手を別々に作って接合する。土鍋にはペタライトを配合した耐熱性の高い陶土を使用し、直火に耐える特性を持たせている。焼成温度は製品により約1100度から1250度まで様々で、酸化焼成を基本とする。
四日市萬古焼はどこで購入・体験できますか?▼
三重県の産地工房・直売所や、全国の百貨店・専門店でご購入いただけます。 産地では制作体験ができる工房もあります。三重県の工芸品については三重県の伝統工芸品一覧もご覧ください。